人の駅 ―本の森にさまようー
倉敷駅とペデストリアンデッキで隣接する空き店舗が増えつつある百貨店を舞台に、街を行き交う人の動線に連続させた、「心の拠り所」「場所の拠り所」となる「人の駅」を提案している。6階建ての百貨店のうち、デッキが接続する2階とその上階を「貸し出さない図書空間」へ改修。既存の柱・梁の立体格子の中に、各階でXY軸の異なる向きに配した本棚と、上下階の視線や気配を繋ぐ吹き抜けを組みわせ、さらにグリッドによる領域をまたぐように家具や床仕上げを施すことで、空間に揺らぎを生み出し、多様で奥行き感のある人と情報が交じり合う空間が生まれている。空間が全体としてつながりつつ、視線の向きがずれながら重なり、本の森をさまよいながら居場所を探す、「心の拠り所」がそこにある。
担当教員:岡山県立大学 吉田 豊 先生