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佐久間さんの作品は、新しい時代の「結婚」のありかたを多面的に考えて、それに相応しい空間を提案した意欲的な作品です。多様性の価値観が浸透してきた現代においては、愛を誓う相手は、異性、同性、バーチャルなど様々な可能性があります。ところが現状の結婚式場は、旧来のイエとイエの結びつきという観念に沿った世界観の空間しか用意されていません。また宗教的な意味合いの強い式場も、必ずしも新しい結婚観にはそぐわないことがあります。佐久間さんは五行の思想にヒントを得て、「木」「火」「土」「金」「水」の元素と、それが意味する人間の気質を表現する空間を、ニュートラルな場所としての海上に浮かべることを考えました。5つの元素に対応する建築は、それぞれの世界を演出するインテリアと外観でデザインがされ、しかも明るくポップな感覚で仕上げられています。アミューズメントパークに行くような感覚で結婚式をして欲しいという彼女の思いが伝わります。本来は家族観に関わる社会的に重いテーマですが、あえてそれを爽やかにまとめ上げた彼女のデザイン力と感性が発揮されていると思います。
担当教員:女子美術大学 横山 勝樹 先生