メディウムが滲む
本作品は、本来屋外に展示されるパブリックアートが、インテリア空間から屋外へと滲み出すことを目的として計画された。その中心は、作者がメディウム(Medium)と呼ぶインテリア空間であり、作者にとっての視点の起点となっている。まさにこの点がインテリア分野として評価に値する。アーティストは、インテリアの主要要素である壁、床、天井が切り取る空や屋外景観をインスピレーションの源泉とし制作し、制作された作品は緩やかな弧を描く回廊から、外部へ滲み出す。インテリア空間は、本来外部空間に包含されるという認識が一般的であるかもしれないが、本作品は、この認識を逆転させ、インテリア空間が起点となって周辺の屋外環境を魅力的に創造する試みなのである。
担当教員:名古屋工業大学 石松 丈佳 先生